国際シンポジウム
2001年4月6, 7, 8日
日仏会館1階ホール(日本語・フランス語使用 同時通訳付)
[入場無料・参加申し込み不要]
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[更新日:2001年3月30日]
本シンポジウムは、文字はイメージから生まれたものであるが、それを用いる文化によって次々とたえず創造されていくという仮説から構想された。西洋と極東において、どのようにこの文字の再創造が実践されてきたのかが検討されることになる。中国では、まず文字は神々の託宣(卜占における)であり、それを人間が利用することになったのである。日本では、中国の漢字が日本独自の文字を形成するために用いられた。アルファベットを使う世界では、その機能から視覚性を排除した文字を受け継いでいたが、その文字も絶えず変化してやまないものであった。
このシンポジウムの独創性は、異なった文字体系をもつさまざまな文化を視野に入れていることである。そのため一回の発表では、類似のテーマを持ちながら異なった文化を背景とする二人の専門家を併置して、セッションを進めたり、または同一の文化の中での異なった視点を対置するよう配慮されている。
このようにして、これまで相互にあまり関係を持たなかった西洋と極東における文字使用の実態の中で、現象が一つに集約したり再編成されたり、あるいはパラレルな関係であったり分離したりすることなどをも検討し、そうすることによって文明の差異を越えて、さらに文字とイメージを結ぶ絆を明確にすることを期待したい。
本シンポジウムの関連で、東京日仏学院において、4月10日(火、19:00から)には、シンポジウム発表者の石川九楊氏、千葉文夫氏、アンヌ=マリー・クリスタン氏の参加を得て、「書」というテーマのパネル・ディスカッションが行われ、5月には「石川九楊展」が開かれる。
4月6日(金) | |
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パネル・ディスカッション「文字、言葉、絵」
司会 千葉 文夫(早稲田大学教授)、マリアンヌ・シモン=及川(慶應義塾大学訪問講師) | |
18:00-20:00 | パスカル・グリオレ(フランス国立東洋語東洋文化研究院助教授) 吉田 加南子(学習院大学教授) フィリップ・カントン(グルノーブル大学助教授) |
4月7日(土):「手書き文字、タイポグラフィ、絵」 | |
午前:「日本の手書き文字の形式」 司会:セシール・坂井(パリ第7大学教授) | |
9:30-10:15 | パスカル・グリオレ(フランス国立東洋語東洋文化研究院助教授): 「絵としての仮名:男手から女手へ」 |
10:15-11:00 | クレール・ブリセ(フランス国立東洋語東洋文化研究院): 「平安時代後期における平家納経の法師功徳品」 |
11:00-11:20 | 休憩 |
11:20-12:05 | 石川 九楊(書家、京都精華大学文字文明研究所長): 「日本文字:漢字と仮名」 |
午後:「手書き文字からタイポグラフィへ」 司会:パスカル・グリオレ(フランス国立東洋語東洋文化研究院助教授) | |
14:00-14:45 | ジャン=ピエール・ドレージュ(フランス極東学院院長): 「中世の中国における写経」 |
14:45-15:30 | 林 譲(東京大学史料編纂所教授): 「花押(書判)と押手(花押印)」 |
15:30-15:50 | 休憩 |
15:50-16:35 | 小宮山 博史(佐藤タイポグラフィ研究所): 「明朝体活字の東進 ― 西洋からアジアへ」 |
16:35-17:10 | セシール・坂井(パリ第7大学教授): 「近代文学の表記 ― その選択と効果について」 |
4月8日(日):「表音文字、表意文字、絵画」 | |
午前:「漢字とアルファベット」 司会:谷川 多佳子(筑波大学教授) | |
9:30-10:15 | アンヌ=マリー・クリスタン(パリ第7大学教授、文字研究センター長): 「イデオグラムとユートピア:ライプニッツによる普遍的表記法」 |
10:15-11:00 | アントワーヌ・コロン(国立図書館貴重書籍部長): 「西欧における図象詩:テオクリトスからギヨーム・アポリネールまで」 |
11:00-11:20 | 休憩 |
11:20-12:05 | マリアンヌ・シモン=及川(慶應義塾大学訪問講師): 「フランスの視覚詩の詩人が見たイデオグラム」 |
午後:「文字とグラフィックデザイン」 司会:建畠 晢(多摩美術大学教授) | |
14:00-14:45 | 向井 周太郎(武蔵野美術大学教授): 「日本の視覚詩における素材と構成 ― コンクリート・ポエトリーを中心に」 |
14:45-15:30 | 浅葉 克巳(アート・ディレクター): 「日本のタイポグラフィーとトンバ文字」 |
15:30-15:50 | 休憩 |
15:50-16:35 | フィリップ・カントン(グルノーブル大学助教授): 「ロゴタイプと表意文字:東洋と西洋の交錯」 |
16:35-16:50 | 休憩 |
総括:パネルディスカッション
司会:千葉 文夫(早稲田大学教授) | |
16:50-18:00 | パネルディスカッション |
日仏会館:JR 恵比寿駅東口下車徒歩10分
問い合わせ先:日仏会館フランス事務所
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿 3-9-25/TEL 03-5421-7641