フィギュアとしての仮名 ― 男手から女手へ

パスカル・グリオレ(フランス国立東洋語東洋文化研究院日本語科助教授)

シンポジウム「文字文化の再創造」,2001年4月7日,日仏会館ホールにて

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[更新:2001-03-30]


発表要旨

教育が盛んになった江戸時代では、文字によるコミュニケーションの発達が著しい。木版印刷の普及によって、往来物といわれる教科書が日本全国で流通するようになり、読み書きの普及に大きく貢献したとおもわれる。ところが、女子向けのものは、その形からも内容からも男子向けの物と著しく異なっている。特に前者は仮名(ひらがな)を基調としているのに対し、後者は漢字を基調としている。

さらに、それらの教科書は、散らし書きと名づけられる巧みに行を散乱させる様式を大衆化し、貴族の世界で発達した女房文あるいは天皇の仰せを記した女房奉書の様式を模範にしていた。このような表記の様式はどのように創造されたのかを考えてみたい。


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