エリゼ・ルクリュと日本:「大いなる歴史の不思議」
[講演会] フィリップ・ペルティエ(リュミエール・リヨン第2大学)
18:30〜20:30 601 号室 フランス語
*定員に達したため、お申し込みを締め切らせていただきました。
フランス人地理学者エリゼ・ルクリュは日本に来たことがなかった。しかし、この国に関する地理学書(La Nouvelle Géographie Universelle, volume VII, 1882. L’Homme et la Terre, t. V et VI, 1905)を執筆するために、彼は当時のヨーロッパにおける東洋学者から得た豊富な資料、また数々の旅行記だけでなく、彼の友人であり、地理学者で同じくアナーキストのレフ・メーチニコフ(1838-1888)から直接聞いた証言を使った。メーチニコフは2年近く日本に滞在し西郷従道、中江兆民などの重要人物たちと交流していた。
二人の地理学者は、明治の変化を「復古」としてではなく、内発的な活力が中心にある根本的な改革として捉え、西洋の模倣であるとは考えていなかった。ルクリュは軍国主義、領土拡張主義といった問題点も含めて日本を未来の大国と見做していた。彼の分析は、全ての歴史哲学を越えて東洋と西洋の区別を再考するものだった。
プロフィール
地理学博士。日本言語文明学修了。フィリップ・ペルティエはリヨン第二大学教授、共同研究ユニットUMR5600(環境・都市・社会)のメンバーである。日本の地理学、地政学、メタ地理学、自然と社会の境界に関する観念の歴史について数々の研究や著作がある。
主な著作に、La Japonésie (1997)(1998年渋沢・クローデル賞受賞、1999年海洋アカデミー最優秀賞受賞)、 Extrême-Orient, invention d’une histoire et d’une géographie (2011)があり、最近では Quand la géographie sert à faire la paix (2017) 、またLa Fascination du Japon の増補第3版を2018年に出版している。彼の日本での研究はドキュメンタリーLe Géographe et l’île (réal. Christine Bouteiller, 2018)にもなった。
【司会】レミ・スコシマロ(日仏会館・フランス国立日本研究所)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所
フランス語、逐次通訳