日本における都市階層システムの課題と公共政策
[講演会] 細野助博(中央大学名誉教授)
18:00〜20:00 601会議室 日本語
日本の社会経済構造は、高度な中央集権体制を維持し、それに対しての抵抗感は薄い。日本の都道府県は「4層構造」を形成し、「中央政府」と大企業の「本社」が立地する東京を頂点とする。官民とも東京で創出される高付加価値維持のために再投資する。その成果を他の道府県は「交付金」や「補助金」で享受する。対価は従順な協力である。この現状では、向上心に溢れる若い男女は「東京を目指す」しかない。しかし「通勤地獄」「長時間労働」「高い家賃」と「低い合計特殊出生率」の都会と、「職と誇りと自由が無い」と「若い女性の流出率が高い」地方に分断される。こうして日本は人口減少の罠から抜け出せないため、国力は次第に低下してゆく。しかしドラスティックな政策転換などだれも望まない。「ぬるま湯のたこつぼ」から抜け出し打開策をデータ分析から皆さんと考えたい。
細野助博
中央大学名誉教授。元日本公共政策学会会長。元財務相財政制度等審議会委員。専門は公共政策(都市・地域計画論、産業組織論、政策形成論)。主著に『スマートコミュニティ』『Policy Analysis in Japan』『中央省庁の政策形成過程』など多数。
【司会】ラファエル・ランギヨン(日仏会館・フランス国立日本研究所)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所