十九世紀異境文学研究会
[Séminaire]
17:00 - 19:00 604号室 日本語 通訳なし
急速なグローバル化が進行していった19世紀は、日本にとっても、新しい国際秩序の中でみずからの位置が問われる時期であった。東アジアでも近代的な国境の観念が広まったことで、従来の主従・冊封関係を背景にした国家間の関係や、国内外の境界が再編され、それとともにヒト・モノ・情報の流通にも大きな変化が生れたのである。
本研究会は、そうした19世紀の流動的な地理意識の中で生み出された文芸作品を研究対象とする。大規模な変動の渦中にあった作家・文筆家たちは、変わりゆく空間をいかに把捉し、どのように描き、そして何故にそれを描こうと試みたのか。それに際してはどのジャンル、どの言葉が選択されたのか。そしてそうした文芸作品は、同時代にどのような影響を及ぼし、新しい表象を生み出していったのか。百出するこうした問題群を取上げ、19世紀におけるボーダーの概念を文芸作品の中から再考察することが、本研究会の目的である。