4月
17
2023

ロラン・バルトは注文に応じて書くのを常としたが、彼が夢見ていたのはいっさいの依頼から逃れて〈作品〉を書くこと、それに打ち込むことだった。できれば注文の断わり方を心得て、肝心なことの執筆に備えたいと願っただろう。ただし公刊するためではなく、ただ〈書く〉ために、自動詞的に書くために。依頼や注文に対する彼の態度は非常に両義的で、薬でも毒でもある依存薬物を摂取した人のふるまいのように、隷従と反抗とが入り混じっていた。

【司会】中地義和(東京大学名誉教授)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所
【協力】​​​​​​​​​​​​日本学士院

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。