6月
15
2009
  • 講師プロフィール:

    高等師範学校卒業。フランス国立科学研究センター(CNRS)主席研究員、ジュシウー数学研究所研究員。研究領域はバナッハ空間の幾何学、より一般的には関数分析である。現在、パリ=サントル(Paris-Centre)数学博士課程(パリ第6大学・パリ第7大学)の研究科長を務める。

  • 講演要旨:

    2400年以上前に、ギリシャの数学者は整数の四則演算には分解できない数が存在し、ある種の近似アルゴリズムには終わりがないことを発見した。この根本的かつ厄介な発見、そして計算に無限が闖入したことによって、概念を明確にする必要が生じ、はじめて数学が理論化されるとともに無理数の存在から引き起こされる危機を乗り越える努力がなされたのである。近代に入ってからも同様の科学的事件が起こった。20世紀に入って無限がふたたび登場し、集合論が数学の基礎理論の危機を示して数学者と論理学者に次の問いを投げかけた:いかなる算術的問題にも答えうるオートマトンは存在するのか? 代数的演算が矛盾を包まないと言い切れるのか。一つの命題が真であることを常に証明することができるのか。本講演では、これらの問いに対して20世紀の研究者たちが与えた驚くべき回答を示す。

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。