3月
06
2014

【要旨】
自由や解放といった価値を担い、人権という思想を具現化していながらも、共和国のイデオロギーは、人類の多様性に対して不平等で階層的な側面も持ち合わせている。19世紀末、フランスがより永続的な共和国の体制に入ると、植民地の拡大という文脈とも相俟って、共和国のエリート層によって形作られた人種的な偏見がフランス社会に広く浸透することになる。1950年代以降、共和制下の政府は人種差別撤廃に向けた意志を法律にも盛り込もうとするが、そのような公然とした態度とは裏腹に、その行動は曖昧さを多分に含んでもいた。フランス社会における人種差別は現在でも根強く、言説のレヴェルだけではなく、実生活のなかでも、例えば、住居/雇用/教育/余暇などにおける機会の不均等が見られる。

【プロフィール】
グルノーブル政治学院を卒業後、フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)で博士号を、パリ第一大学で研究指導資格(HDR)を取得。キャロル・レノー=パリゴは、現在、パリ第一大学、ニューヨーク、パリ政治学院などで教鞭をとる。知識人の歴史および人種(主義)化の歴史を専門とする。

【主著】
Parcours politique des surréalistes 1919-1969, Editions du C.N.R.S, 1995, réimpression 2001 
La République raciale 1860-1930. Paradigme racial et idéologie républicaine, Paris, PUF, 2006
Races, racisme et antiracisme dans les années 1930, PUF, 2007
De l’Identité nationale. Science, race et politique. Europe-Etats-Unis. XIXe-XXe siècle, PUF, 2011.

【ディスカッサント】 アルノ・ナンタ(日仏会館、フランス国立日本研究センター)

【共催】
「人種表象の日本型グローバル研究(科研基盤(S))」竹沢泰子(京都大学)代表
日仏会館フランス事務所

* 尚、3月8日(土)にも京都大学品川オフィス(東京)で講演会が予定されております。
詳細は下記をご覧ください。
Annonce Carole Reynaud-Paligot 8 mars Shinagawa.docx

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。