ローマ条約からユーロ圏の危機まで
[講演会] ロベール・ボワイエ (応用経済学研究所(CEPREMAP)エコノミスト)
16:00 - 18:00 601会議室 フランス語
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講師プロフィール:
応用経済学研究所(CEPREMAP)エコノミスト。元CNRS研究指導教授。
邦訳された主な著作:
『レギュラシオン理論 : 危機に挑む経済学』(新評論、1989)
『第二の大転換 : EC統合下のヨーロッパ経済』(藤原書店、1992)
『資本主義vs資本主義 : 制度・変容・多様性』(藤原書店、2005)
『ニュー・エコノミーの研究 : 21世紀型経済成長とは何か』(藤原書店、2007)
『金融資本主義の崩壊:市場絶対主義を超えて』(藤原書店、2011)
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講演要旨:
本講演では、まず公共財理論の観点から、次に2010年春以降のソブリン債危機に照らしてヨーロッパのガバナンスを精査する。最初の点について言えば、ヨーロッパで相次いで結ばれた諸条約は潜在的に共同体のものと考えられる公共財のすべてをカバーしておらず、逆に現行の多くの特権は加盟国間の政治的妥協の複雑なプロセスから生まれたものである。したがって、欧州連合の機構が構造的な脆弱さを示していることは何ら驚くにあたらない。ギリシャの深刻な債務問題の告知に端を発する一連の迷走は、安定・成長協定の実施に関するさまざまな不備が重なっている状況やヨーロッパ諸国の公債を国際金融界が自由に裁量している状況、そして何よりもヨーロッパの南北間の特化の深まりに追随しつつ、加盟国がソブリン債危機に陥ることを回避し、さもなくばそれを乗り越えることを可能にするような措置の欠如を示しているのである。今回の講演ではそれらの要因の責任を階層的に分類し、ユーロ危機の進行を乗り越えるための多様な選択肢について論じたい。大まかに言えば、各国家の財政に対する共同体による監査 — すなわち財政連邦主義 — を導入した上でのヨーロッパ公債の発行からユーロ圏の壊滅的な崩壊まで、決着には幅がある。
- 主催:日仏経済学会
- 共催:日仏会館フランス事務所