5月
27
2016

21世紀の試練にさらされるフランスのライシテ(政教分離)は、その歴史に照らして分析することにより得られるところが大きい。フランス革命は国教を廃して信教の自由を認めたが、1790年の聖職者の公務員化や1794年の「最高存在の祭典」など、宗教性によって担保される正当性も追求した。そこでナポレオンは、1801年のコンコルダート(政教条約)によってカトリック教会と和解し国内の対立を鎮めねばならなかった。社会主義者やジュール・フェリーの支持者たちのライシテ(非宗教性)は、今なお宗教的装いをまとっているのである。本講演では、こうした歴史的に変わらない宗教的ファクターについて考える。

プロフィール

リュシアン・ジョームは、哲学のアグレジェ(高等教育教授資格者)で政治学博士、専門は政治思想史。著書にL’Individu effacé ou le paradoxe du libéralisme français (1997年) やTocqueville : les sources aristocratiques de la liberté (2008年) がある。
 

【司会】稲永祐介(大阪市立大学、EPHE / CNRS-GSRL)
【主催】日仏会館フランス事務所
逐次通訳

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。