3月
11
2021

日本の沿岸部における景観は、産業革命以前から既に人の手によって様変わりしていたが、欧米技術の導入により、そして特に高度経済成長期にさらに加速的に変貌を遂げた。三陸では次々に巨大な防潮堤が造られ、住民の海との関わり方を大きく変えていく一方、防潮堤のおかげで海抜の低い沿岸部低地でも新たな開発が可能になった。
ところが東日本大震災時の津波に対し持ちこたえた防潮堤は皆無だった。それにも関わらず防潮堤の再建築が必要とみなされ、新たに山が削られ嵩上げが行われ、以前にも増して巨大な防潮堤が造られていった。こうして沿岸部の景観は一層の変貌を遂げつつある。巨大堤防の建設は “コンクリートの津波”ともいえる勢いで沿岸区域を覆いつくしつつある。地域住民は海からより一層隔てられ、他方、住民は以前にも増して国政・県政・建設グループ等開発者側に依存せざるを得なくなっている。しかしこれら巨大防潮堤はどこまで沿岸地域保護に役立つのだろうか。

【講師】レミ・スコシマロ(トゥールーズ・ジャン・ジョレス大学、日仏会館・フランス国立日本研究所)
【司会】アドリエンヌ・サラ(日仏会館・フランス国立日本研究所)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。