11月
01
2010
  • 講師プロフィール:

    ロンドンの英国王立音楽大学でピアノを学んだ後、ザルツブルグのモーツァルテウムで伴奏者として音楽活動をスタートさせ、クリスタ・ルートヴィヒ、ハンナ・シェール、ドナ・ブラウン、カティア・リッチャレッリ、ウォルター・ベリー、バーバラ・ボニー、フランク・ル・ゲリネル、フランソワーズ・マセなどとコンサートを行う。室内楽のコンサートも多い。また、コレペティトールとしてヘルベルト・フォン・カラヤン、クラウディオ・アバド、小澤征爾、ダニエル・バレンボイム、 ピンカス・スタインバーグなどの指揮者のアシスタントを務めた。ヒルデガルド・ベーレンス、マーガレット・プライス、ジェニファー・ラーモアとも仕事をしている。リヨン国立歌劇場研修所でフランス近代歌曲とリートを教授したのち、自らの教室を開設。現在はパリ第三大学で独唱法の修士課程(マスター)責任者を務めるほか、パリのコンセルヴァトワールでも教えている。

    女性作曲家ファニー・ヘンゼル=メンデルスゾーンの伝記でドイツ研究の博士号を取得。最近ではバイオリニストのティエリー・モラン、チェリストのシルヴィア・レンツィとともにファニー・ヘンゼル・トリオを結成し、知られざる作曲家や女性作曲家の作品を演奏している。ファニー・ヘンゼル=メンデルスゾーンのほか、アルマ・マーラー、ジョゼフ・コズマ、エマニュエル・シャブリエ、マリー・ジャエル、ポーリーヌ・ヴィアルドなど再発見されるべき作曲家の作品を数多く録音している。2005年4月には、ディスク・リリック・アカデミーからジェラルド・ムーア賞(最優秀伴奏者賞)を授与されている。

  • 講演要旨:

    メンデルスゾーンの姉でもあるファニー・ヘンゼル=メンデルスゾーンをめぐって、19世紀の2人の女性作曲家を思い浮かべることができる。クララ・シューマンとポーリーヌ・ヴィアルドである。

    音楽に彩られた本講演会では、いくつかの問いが提起される。なぜ19世紀の音楽は男性を中心にしていると言われるのか?女性はどのように音楽に近づく許しを得たのか、あるいは得ることができなかったのか?

    ファニー・ヘンゼル=メンデルスゾーン、クララ・シューマンそしてポーリーヌ・ヴィアルドは自らの個性を尊重しつつ、それぞれ異なったアプローチで音楽に取り組んだ。クララ・シューマンは少女の頃から作曲に没頭していたが、夫の死後は作曲を完全に行わなくなった。ポーリーヌ・ヴィアルドは歌手として華々しく活躍した後、楽しみとして作曲を行い、教育の手段ともした。ファニー・ヘンゼル=メンデルスゾーンは、公的な活動はしなかったが、外部に開かれた家庭で常に作曲を行っていた。

    そこには何らの答えも確信もない。あるのはただ音楽に思いを馳せることだけである。

関連データ:

» 2010-11-01_Tillard.pdf (PDF版開催案内)

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。