3月
19
2012

講演のデジタル録音(フランス語のみ)

  • ディスカッサント:私市正年(上智大学)
  • 講演要旨:
    文学の限界について語ることから講演は始まるだろう。かつて、どんな本も社会を変えることはなかった。政治や経済の状況は一作家の力の及ぶところではなく、変えることはできない。しかし、沈黙やあきらめは状況をますます不幸かつ危険なものにしかねない。だからこそ作品を世に送ることは重要なのである。
    演題にある激動という言葉は、いわゆる「アラブの春」に関係がある。シリアやリビア、エジプトの現状を見る限り、この春は血まみれの冬へと移行しつつある。
    アラブ世界で何か起きたのか、そしてアラブ諸国の将来について話したい。これらの国々では尊厳と自由の価値を樹立するべく抗議と抵抗が続いている。長く、至る所に陥穽がある道のりだが、後戻りはできない。
    作家の役割とは何だろうか。注意深く積極的でもある証言者、扇動者、そして可能であれば激動のさなかで当事者となることである。
    簡単に言えば、文学はさして役には立たないかもしれないが、かつてないほどに必要とされているのである。
  • 協力:東京日仏学院
* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。