プルースト ー 緩慢礼賛
[講演会] エリック・ファイユ (作家)
18:30 - 20:30 601号室 フランス語
マルセル・プルースト、『スワン家のほうへ』
1913年3月31日〜6月11日まで、添削のための張り紙
フランス国立図書館所蔵
【講師プロフィール】
エリック・ファイユ氏は、1963年生まれ。カフカ、イスマイル・カダレ、フィクションと全体主義などに関する評論のほか、中篇小説、長篇小説を発表。『私は灯台守』で1998年のデゥ・マゴ賞、『ナガサキ』にて2010年のアカデミー・フランセーズ小説大賞を受賞。
【要旨】
プルーストにおける緩慢を礼賛するのは、はかない時代、「読み捨て本」と言われるものが幅を利かせる時代になればなるほど、書斎にプルーストを備えているのがますます大きな救いになるからである。読者としてはもとより、だが作家としても、私はそう言いたい。「ウサギとカメ」の寓話にたとえるなら、プルーストはカメである。双肩に家を背負いながら、それでも遅れず、最初に到着する。プルーストは時間をかける。いわば「長距離ランナー」であり、スプリンターではない。ある意味、プルーストはお手本である。この作家は、私見によれば、フランス語の潜在的喚起力を最大限に引き出すことによって、ある詩的世界、ある雰囲気を醸し出すという快挙を成し遂げたのであり、私の考えでは、小説が発揮できる根本の力はそこにあるのだ。
【ディスカッサント】 吉川一義(京都大学)
【司会】 クリストフ・マルケ(日仏会館フランス事務所)
【共催】 日本フランス語フランス文学会、日仏会館フランス事務所