4月
10
2017

要旨
九十余枚存在が確認されている、新旧の入り混じった新都の景観を画題にする小林清親の『東京名所図』は、日本の「近代性」(モダニティ)の定義において今日まで重要な地位を持ち続けている。大正・昭和期の文芸界では、「モダニティ」の視覚化の早期の試みとして、また、近代の都市空間の産物たる憂鬱(メランコリー)の表現としても高く評価された。木下杢太郎や永井荷風の「清親論」、そして西洋の近代に対して同様の感慨に浸ったシャルル・ボードレールとレオン・ポール・ファルグの作品を通して、清親の「東京名所図」の意義を問いなおしたい。


プロフィール

フランス国立極東学院教授、同院東京支部長。日本美術史・宗教史を専門とする。主な研究テーマは近世の文人・蒐集家・古物研究家の比較研究、近世期における東アジアの文化交流史、軍記物語の世界と国民意識の形成など。

【司会】坂井セシル(日仏会館・日本研究センター)
【主催】日仏会館フランス事務所

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。