2月
06
2015

【要旨】
ポール・ジャクレーは、その技巧や感受性という点で、まずなによりも日本の芸術家であり続けた。ひとり息子として生まれ、東京の上流社会のなかで育ったジャクレーは、確固とした芸術教育を受け、絵画、書道さらに義太夫などへの強い関心を示した。その生涯を通じて、日本のあらゆる芸術的な表現方法に魅せられ、創作を続けた。素描の絵師や歌麿に代表される浮世絵師への賛美は、その作品の随所に認めることができる。しかし、決して複製をすることはなく、早い時期から、旅のなかに着想を得るという独自のスタイルに向かった。ジャクレーの木版画は、浮世絵の伝統的な技法に根ざしているといえる。韓国や中国、そして日本やミクロネシアを題材とした水彩画や木版画を制作しているが、いずれの場合にも、日本の芸術文化に裏打ちされた眼差しをつねに持ち続けた。インスピレーションを受けた土地がどこであろうとも、その作品の構成は、浮世絵における人物や日常生活の描写に忠実であった。とりわけ、ジャクレーの作品では、身に纏ったもの、つまり衣装の表現力が重要な役割を果たしている。

【主催】 (公財)日仏会館、日仏会館フランス事務所
【後援】日仏美術学会、ジャポニスム学会

※ 日仏会館ギャラリー(2 階)に於いて、1 月23 日(金)~ 2 月15 日(日)まで、ポール・ジャクレー版画展を開催いたします。

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。