10月
14
2017

©NYMO

New Scientist誌に掲載された最近のインタビュー記事(2017年5月10日)の中で、放射線の専門家山下俊一氏は「福島の問題は、恐怖こそが人を死に至らしめるという点にある」と断言しました。これに対して私たちは、致命的なのは恐怖ではなく電離放射線被曝の悪影響に関する無知であるという点について、理性的な観点からその理由を検討することを提案します。そのためには、福島における健康上の危険を否定することにつながる「無知の創造」のメカニズムを理解する必要があります。 恐怖ではなく無知こそが致命的であり、また、もし致命的な恐怖があるとすると、それは、自らの既得権益が脅威に晒されている状況で原子力を提唱し続ける専門家が抱いている恐怖で、それが損害を与え犠牲者を生み出すものです。本シンポジウムの参加者はそれぞれの専門の観点から、この点について検討します。

【学術責任者、司会】セシル・浅沼=ブリス、アンヌ・ゴノン、影浦峡、ティエリー・リボー

プログラム
9:30 受付開始
9:55 イントロダクション

10:00〜13:15  パネル1 「汚染下の生活」
10:00 放射能汚染の定量化 (司会:影浦峡、東京大学大学院)
「2011年3月における放射性セシウム濃度変動の大気輸送モデルシミュレーションと実測値との比較」滝川 雅之(地球環境変動領域 物質循環研究プログラム 大気物質研究チーム チームリーダー)
「土壌と食品の汚染測定」 小豆川勝見(東京大学大学院 総合文化研究科)

11:00〜11:15 休憩

11:15  健康の脅威 (司会 : セシル・浅沼=ブリス 、日仏会館・日本研究センター及びリール第1大学 協力研究員)
「被曝の危険性に対する知見の歴史的な変遷」濱岡 豊(慶応大学商学部)
「福島県における小児甲状腺がんについて」牧野 淳一郎(神戸大学)
「原発事故がもたらした精神的被害:構造的暴力による社会的虐待」辻内 琢也(早稲田大学災害復興医療人類学研究所所長)
12:45〜13:15 質疑応答

13:15〜14:15 ランチタイム

14:15〜15:15 パネル2 「住民の統治」(司会:ティエリー・リボー フランス国立科学研究センター、リール第1大学)

「La triple catastrophe du Japon de l’Est – un espace liminaire et des sujets citoyens」アンヌ・ゴノン(同志社大学)
「La politique du logement et son impact sur la gestion de la population à Fukushima」セシル・浅沼=ブリス(日仏会館・日本研究センター及びリール第1大学 協力研究員)

15:15〜15:30 休憩
15:30〜17:00 パネル3 「無知創生機構への対峙」(司会:アンヌ・ゴノン 同志社大学)

「消されゆく原発事故被害「避難指示区域外避難者」の抱える問題から」 吉田千亜(フリーライター)
「無知と疲弊による許容」 千葉由美(いわきの初期被曝を追及するママの会)
「福島ー無知の伝染病」ティエリー・リボー(フランス国立科学研究センター、リール第1大学)

17:00〜17:30 質疑応答
17:30〜18:30 ラウンド テーブル 
「福島:命を奪うのは恐怖か無知か?」

セシル・浅沼=ブリス、千葉由美、アンヌ・ゴノン、濱岡豊、影浦峡、ティエリー・リボー、小豆川勝見、牧野 淳一郎、滝川雅之、辻内琢也、 吉田千亜

【主催】Clersé (フランス国立科学研究センター・リール第1大学)
【共催】日仏会館フランス事務所
【助成】フランス国立科学研究センタープログラム NEEDS : 原子力、エネルギー、環境、廃棄物、社会

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。