日仏におけるイスラームと政治的・社会的価値観
[シンポジウム]
17:30〜20:00 オンライン
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1989年のスカーフ事件以来、イスラームはフランスにおける社会問題の前景を占めてきました。ムスリムとの共⽣が政治的・社会的な争点となり、共和国の価値の⽀柱をなすライシテがその鍵を握っているとみなされています。今⽇、ライシテの意味は研究と議論の対象となっており複雑ですが、あえて図式化するならば、協調的なライシテはフランスのイスラーム化をもたらすと主張する者と、逆にフランスのアイデンティティと化した厳格なライシテのほうがムスリムを周辺化し過激化をもたらすと主張する者とのあいだに政治的な対⽴があると言えます。2015 年にパリで2 回起きた襲撃事件はこの対⽴に拍⾞をかけ、社会の脅威をめぐる議論に分断をもたらしています。しかしながら、イスラーム問題とはヴェールやテロに還元されるものではなく、研究者たちは500万⼈と⾔われるムスリムの⽇常⽣活にも関⼼を抱き、ハラール市場からイマーム養成、そしてフランスでのリベラルなイスラームの誕⽣についても研究を進めています。
⽇本在住のムスリムは10〜20 万⼈と推計されており、フランスに⽐べれば⾮常に数が少ないわけですが、それでもますます⽂化的・宗教的に多様化する社会のなかで⼀定の位置を占めています。憲法で信教の⾃由と政教分離を定めている点では⽇本もライシテの国と⾔うことができると思われますが、ライシテという⾔葉⾃体は普段の社会⽣活のなかではほとんど⽤いられません。普遍主義的な⼈権概念に基づいて宗教的マイノリティの保障を実質的なものにしようと努⼒する代わりに、⽇本は多神教の国だから宗教に寛容で⼀神教が伝統の国よりも多様な宗教の共⽣に適していると語って満⾜する者もいるようです。それでも、⽇本型の排外主義が存在することは否定すべくもないし、それはイスラモフォビアとも無縁とは⾔えません。
⽇本社会およびフランス社会においてムスリムとは誰のことなのでしょうか。それぞれの社会においてムスリムが占めている位置とはどのようなものなのでしょうか。ムスリムにはどのような視線が注がれ、そこにはどのような歴史的な前提があるのでしょうか。イスラーム問題を前にして、⽇仏両国の⽂脈があまりに異なっているとするならば、私たちはそもそも⽐較できないものを⽐較する無謀な企てをしているのでしょうか。それとも、共通の課題は存在しており、それがまさに⽐較の観点から新たに浮かびあがってくると⾔うべきなのでしょうか。両国の政府はどのような政策を⾏なっているのでしょうか。そしてとりわけ、ムスリムとの共⽣を実現するために、両国の⼈びとはどのような解決策を思い描いているのでしょうか。この⽇仏国際シンポジウムでは、このような一連の問いを扱おうと考えています。
セッション1「日仏におけるイスラームの位置」
司会:伊達聖伸(東京大学)
講演
カトリーヌ・メイユール=ジャウアン(ソルボンヌ大学)、店田廣文(早稲田大学名誉教授)、ヴァランティーヌ・ジュベール(EPHE)、樋口直人(早稲田大学)
【講師】安達智史(関西学院大学)、ラシッド・バンジーヌ(パリ第10大学)、フロランス・ベルゴ=ブラクレ(CNRS)、藤原聖子(東京大学)、樋口直人(早稲田大学)、小村明子(立教大学)、カトリーヌ・メイユール=ジャウアン(ソルボンヌ大学)、見原礼子(同志社大学)、店田廣文(早稲田大学名誉教授)、オリヴィエ・ロワ(欧州大学院)、ジャン=ジャック・ティボン(Inalco)、ヴァランティーヌ・ジュベール(EPHE)
【司会】伊達聖伸(東京大学)、増田一夫(東京大学名誉教授)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所、科研費補助金基盤A 20H00003/
【協力】(公財)日仏会館