12月
16
2019

日本では貧困問題は長きにわたりタブーとされ、不可視化されてきたが、2000年代後半から社会問題としてメディアに取り上げられるようになった。数十年前から日常においてはほとんど耳にすることがなくなっていた「貧困」というワードが、2009年には日本中を席巻した。今日、貧困の存在は否定のしようもない現実である一方、社会的に問題として認識されているのは、ある一部の種類の貧困のみである。この講演では、戦後から今日までの貧困問題をめぐる認識の変遷を検証し、貧困が今日ふたたび社会問題として可視化され、容認されるようになった要因を探る。

プロフィール:
メラニー・ウルスは現在トゥールーズ・ジャン・ジョレス大学准教授で、日本の貧困問題を専門とする社会学者。貧困の表象、貧困状態にある人々の権利へのアクセス、体験などを主な研究テーマとし、最近は、貧困問題の認識、とくに近年の社会的関心の高まりを分析をする一方、「子ども食堂」の広がりについても研究している。また、今年フランスで翻訳が出版された湯浅誠による著書『反貧困「すべり台社会」からの脱出』(『Contre pauvreté』2019年、Picquier社)のフランス語版の学術監修を務めた。

【司会】ソフィー・ビュニク(日仏会館・フランス国立日本研究所)
【主催】在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ日本、日仏会館・フランス国立日本研究所

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。