テレビドラマの効能:モラルを形成し得るのか?
[講演会] サンドラ・ロジエ(パリ第1大学)
18:30〜20:30 601号室 フランス語
*中止:新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のため、こちらの講演会の開催を見送ることとなりました。参加を予定されていたみなさまには申し訳ございませんが、ご了承いただけますようお願いいたします。
ポップカルチャーは、日々更新されてゆく私たちのモラルにおいて、重要な役割を担っている。スタンリー・カヴェルが提起したように、映画やテレビといった現代作品が「公共的な」教育の媒体になり得るということである。たとえばテレビドラマにしてみれば、女性の解放(『セックス・アンド・ザ・シティ』『バフィー〜恋する十字架』)、性的マイノリティ、社会差別(『THE WIRE/ザ・ワイヤー』)、性暴力(『アンビリーバブル たった1つの真実』)、テロのリスク(『le Bureau des Légendes(ビューロー)』(日本未公開))といったテーマを正面から捉え、モラルの分野に分け入っている。連続テレビドラマの世界観、人物の描き方、シチュエーションの設定などは、モラルの枠をより日常的で多元的な、感受する倫理へとスライドさせるのである。
サンドラ・ロジエは、パリ第1パンテオン・ソルボンヌ大学教授で、フランス大学連盟のメンバー。専門はウィトゲンシュタイン、アメリカ哲学、スタンリー・カヴェルで、日常言語学派哲学を倫理(ケアの倫理)、政治学(市民の不服従、ラディカル・デモクラシー)、美学(ポップカルチャー、テレビドラマ)などの分野において学際的に展開してきた。共著書にPourquoi désobéir en démocratie ? (アルベール・オジアン共著、2010年、ラ・デクルヴェルト社)、 Face aux désastres. Le care, la folie et les grandes détresses collectives (アンヌ・ロヴェル、ステファニア・パンドルフォ、ヴィーナ・ダス共著、2013、イタック社)、 Le Principe Démocratie (アルベール・オジアン共著、2014年、ラ・デクルヴェルト社) 、Recommencer la philosophie. Stanley Cavell et la philosophie en Amérique (2014年、ヴラン社)、 Antidémocratie (アルベール・オジアン共著、2017年、ラ・デクルヴェルト社)、 Formes de vie (エステル・フェラレス共著、2018年、CNRS出版)、Nos vies en séries(2019年、クリマ社)などがある。
【講師】サンドラ・ロジエ(パリ第1パンテオン・ソルボンヌ大学)
【司会】アドリエンヌ・サラ(日仏会館・フランス国立日本研究所)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所