10月
16
2019

本講演では、現代社会における独身者たちに光をあて、彼らの実像を照らし出す。これまで適齢期を過ぎた独身男女は「行き遅れ」などと呼ばれあたりまえのように嘲笑の対象にされたものだが、文化、社会ともに変容した現代においてはもはやめずらしい存在などではなくなり、その数も増加し続ける一方である。とはいえ、婚姻関係にあるカップルを優遇する社会にあって、彼らはそれでも表面的にはわかりづらい、目に見えない差別を被っていると言えよう。未婚の男女が貧困状態に陥ってしまうケースは多くの国で数多く挙げられ、日常生活においても彼らは多くの困難に直面しているという。現代社会が抱える重要な課題の一つである独身者の問題を、フランス、アメリカ、日本の現状を例にとり、歴史的、社会的視点から捉え直す。

ロマン・ユレ (EHESS)

歴史学者、フランス国立社会科学高等研究院教授。2017年より同院の研究担当副ディレクターを務める。北米研究チームに所属し、20世紀アメリカ史、とくに経済・社会の格差問題とその動向を専門に研究をしている。著書にLa Fin de la pauvreté ? (Cornell University Pressより英訳あり)、American Tax Resisters (Presses universitaires de Harvard)などがある。植民地時代から現代までの独身者をテーマとした最新の著書、Les oubliés de la Saint-Valentin. Célibataires, ordre matrimonial et inégalités aux États-Unis, XXe-XXIe sièclesがフランスとアメリカで刊行される予定。

足立 眞理子
東京大学大学院経済学研究科、理論経済学専攻、博士後期課程単位終了
大阪府立大学、お茶の水女子大学教授、ジェンダー研究センター長を経て 現在お茶の水女子大学名誉教授

専門
経済理論、国際経済学、ジェンダー研究

【講師】ロマン・ユレ (フランス国立社会科学高等研究員ーEHESS)
【ディスカッサンント】足立 眞理子 (お茶の水女子大学名誉教授)
【司会】ソフィ・ビュニク(日仏会館・フランス国立日本研究所)

【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所
【協力】EHESS

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。