12月
13
2016

連続講演会《恋愛の人類学》を締めくくる本講演会では学際的アプローチを行い、社会と心理 の交差地点から恋愛を考える。
フランスにおいても日本と同様、現代のカップル(couple=カップル、夫婦)の特徴は、結婚による夫婦という制度的な定義から、制度によって必ずしも保障されない個人的、内的、そしてかなり相互主観的な定義へ変化していることだ。現代のカップルは不安定で、脆く、多様な形をとり複雑だ。もともとの「夫婦の契約」を保つ永遠性や独占性が求められているにもかかわらず、ますます長続きしにくくなっている。
エリック・スマジャは、精神分析学や社会人類学を土台としたアプローチから分析を行う。彼の分析の特徴は、夫婦生活における社会的要因や個人的要因を扱うことだ。本講演会では、「カップルの努力」を提示するために、精神医療での事例を主に取り上げる。

プロフィール
エリック・スマジャ
エリック・スマジャは精神科医、精神分析学者であり人類学者。American Anthropological Association (アメリカ人類学会)、 Society for Psychological Anthropology (心理人類学協会)に所属し、パリ精神分析協会のセミナー「Psychanalyse et sciences sociales (精神分析と社会科学)」の創始者であり責任者である(2006年〜2013年)。彼の研究は、現場での調査と普遍概念、文化の多様性の考察を結びつけている。
とくに、笑い(「笑い ─ その意味と仕組み」 文庫クセジュ958、2011年)、エディプス・コンプレックス(Le complexe d’Œdipe, cristallisateur du débat psychanalyse / anthropologie, PUF, 2009)、カップル(Le couple et son histoire, PUF, 2011)についての研究を進める。

香山リカ
精神科医・立教大学現代心理学部教授
1960年北海道生まれ。東京医科大学卒業。
豊富な臨床経験を活かして、現代人の心の問題を中心にさまざまなメディアで発言を続けている。専門は精神病理学。
NHKラジオ第一「香山リカのココロの美容液」(金曜・夜9:30より)でパーソナリティをつとめる。
近著に「ノンママという生き方 子のない女はダメですか?」(幻冬舎)、「50オトコはなぜ劣化したのか」(小学館)、「リベラルですが、何か?」(イーストプレス)、「半知性主義でいこう」(朝日新書)、「ヒューマンライツ:人権をめぐる旅へ」(ころから)、「がちナショナリズム」(筑摩書房)、「うつになる職場ならない職場」(にんげん出版)など、著書多数。

【講師】エリック・スマジャ(精神科医・精神分析学者)
【ディスカッサント】香山リカ(精神科医)
【司会】ジャン=ミシェル・ビュテル(日仏会館・日本研究センター)
【主催】日仏会館フランス事務所【助成】アンスティチュ・フランセ(パリ)
【協力】在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。