3月
17
2018

1970年代以降、OECD諸国は「ポスト経済成長」時代に入ったように見える。だが、このポスト成長期は、21世紀に入り、アメリカ発の金融・経済危機(« リーマン・ショック »)、それに続く欧州債務危機など、絶えざる危機を伴っている。各国政府とも、赤字財政を膨らませ、その日暮らし状態で、新たな危機が危惧される。こうした時代に、従来の正統派の経済学に代わり、フランスでは、脱成長論や社会的・連帯経済等の新しい経済学・社会政策が勃興した。社会科学の革新をはかるこれらの学問を踏まえて、2013年には個人主義的、合理主義的、経済主義的現代文明を見直し、新しい文明の倫理的・科学的な基礎を置こうとする共生主義宣言が、経済学者、哲学者、社会学者、実務家等の賛同を集めてうち出された(www.lesconvivialistes.org)。本シンポジウムは、本宣言の主唱者の一人、マルク・アンベール教授(前日仏会館・フランス国立日本研究所長)を迎えて、『共生主義宣言』の日本語版(2017年、コモンズ)に関わった共生論研究者、また、地球倫理の普及に関心を持つ文明学者たちとの問題関心を突き合わせ、日仏両国での共生主義の発展を考えようとする。

挨拶:
坂井セシル(日仏会館・フランス国立日本研究所所長)
ダヴィド=アントワーヌ・マリナス(駐日フランス大使館文化部、アンスティチュ・フランセ日本代表)
近藤誠一(地球システム・倫理学会会長)

司会:服部英二(JSGSE会長顧問) 

パネリスト:
西川潤(早稲田大学名誉教授)
「共生主義宣言の意義―ポスト成長時代のグローバル倫理の提起」 

マルク・アンベール(レンヌ第1大学教授)
「共生主義宣言―現在と将来」

團紀彦(建築家/共生ラボ代表)
「都市空間の中の共生モデル」

古沢広祐(国学院大学教授、「環境・持続社会」研究センター代表理事)
「共生社会を実現する条件―文明パラダイム転換のために」

コメント : 西谷修(立教大学)「フランス近代思想と共生主義」 

【主催】地球システム・倫理学会、日仏会館・フランス国立日本研究所
【協力】Association des convivialistes、PEKEA、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。