5月
19
2009
  • 講演要旨:

    外科医と身体の間には複雑かつ曖昧さの残る関係が存在するが、それは歴史に深く根ざしたもので、外科医の職業的アイデンティティーの一部もその上に成り立っている。手術室を民族学的見地から考察するということは、外科医の行為がいかなる具体的かつ象徴的な条件のもとで行われているかを問うことであり、今日では設備に新しいテクノロジー、特に「ロボット工学」(コンピューターによる外科行為の補助)が導入されたことにより、これらの条件に変化が生じている。

    本講演では、フランスにおける触診を事例に、外科が現在直面する危機と“適度な距離”に対する恒常的な配慮に特徴づけられる病院文化の内部で、この技術進歩がどのような変化をもたらしかたを考察する。

  • 講師プロフィール:

    フランス国立科学研究センター主席研究員、エドガー・モラン・センター(現代人類学学際研究所内の研究チーム)所属。中世西洋における身体と外科をテーマにした人類学の博士論文(1983年に出版)の後、現代フランスにおける治療師と占い師についての研究を行う。1992年からパリ地域の医療施設での調査を開始。1998年から2000年にかけては、ジョルジュ・ポンピドゥー・ヨーロッパ病院として統合予定だったパリの3つの公立病院(ブシコー、ブルセ、レネック)の記憶とアイデンティティーに関する研究チームを率いた。2007年以降は外科医療分野のロボット工学に関する調査のため、たびたび日本を訪れている。

    著書に L’Hôpital Corps et Ame. Essais d’anthropologie hospitalière (1)(2003年、2008年重版)、L’Hôpital ou le Théâtre des Opérations. Essais d’anthropologie hospitalière (2)(2008年)がある。

  • 講演テクスト:

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。