12月
18
2019

1923年頃 ドイツ滞在中の九鬼周造
(京都一燈園 燈影社所蔵)

個人と普遍の直接的結合を説く大正期の普遍主義的個人主義に対して、九鬼周造は「具体」を把握しようとした。九鬼の作品においては、諸々の「具体」概念を特定できるが、それらは総合的に「我々」と呼ぶことができ、共同性と同一性の狭間で揺れ動いてる。本発表では、九鬼の著作を単に内在的に解釈するだけでなく、それを歴史的背景に関連づけ、「我々」とは何か、そもそも「我々」とは誰か、という問題を考えながら、1920〜30年代の日本思想史をも検討したいと思う。

プロフィール

フランス国立極東学院 博士研究員、日本哲学研究チーム(IFRAE)共同責任者。専門は日本の哲学と思想史。2017年発表の博士論文「偶然と共同―日本の哲学者、九鬼周造」によりPSL研究大学による博士論文賞特別賞(人文)、パリ大学連盟(Chancellerie des Universités de Paris)主催によるリシュリュー賞、フランス日本研究学会主催による岡松慶久賞、渋沢・クローデル賞を受賞。同論文の刊行はVrin社より予定されている。

詳細はこちらのサイトから :
http://www.inalco.fr/enseignant-chercheur/simon-ebersolt

【司会】ベルナール・トマン(日仏会館・フランス国立日本研究所)
【主催】(公財)日仏会館、日仏会館・フランス国立日本研究所
【後援】(公財)渋沢栄一記念財団、読売新聞社

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。