12月
06
2024

物語に登場する架空の人物の記憶に関する世界規模のアンケート(その方法論を講演会の冒頭で簡単に紹介する)の結果から、回答者がアンケートの専用スペースに時折残したコメントを通じて、このアンケートが、架空の人物との関係性に関しどのようなことを明らかにしているかに焦点を当てたいと思う。これは私が「ナラティヴィティの断片」と呼んでいるもので、インタビューをした人、その人の世代、文化的背景によってかなり偏っている。さまざまな国で実施されたアンケートをもとに作られた、より発展した、時には対立と矛盾に満ちた物語を指すこともある。一方、これらの異なる部分的な物語を適用し、一般的結論を導き出す「大きな物語(grand récit)」については、とりわけ回答した人たちの層の限定性、異質性から、その人々の属する国の文化的一般性を示していない。アンケートの結果から、文化や国民性の違いを考慮に入れた、フィクションの分野における人々の想像力の多様性を忠実に且つ控えめに紐解くことを試みる。

【講師】フランソワーズ・ラヴォカ(ソルボンヌ・ヌーヴェル 大学・フランス大学学士院)
フランソワーズ・ラヴォカは、ソルボンヌ・ヌーヴェル大学の比較文学教授、シカゴ大学名誉博士。フランス大学学士院およびヨーロッパ研究院(文学部門会長)会員。2018年からは、la Société internationale de recherche sur la fiction et la fictionnalité(国際フィクション研究協会)のディレクターを務める。現在、ソルボンヌ・ヌーヴェルの国際科副学長。研究分野は、フィクションの理論、自然災害の記憶、架空の人物の人口統計。著書に Fait et fiction, pour une frontière (パリ、スイユ、2016年、中国語・イタリア語訳)、Les personnages rêvent aussi (パリ、ヘルマン、2023年)、La mémoire des personnages fictionnels, résultats d’une enquête internationale(架空の人物の記憶、世界アンケートの結果)を出版予定。La démographie des personnages de roman (1798-1862)(小説の登場人物の人口統計)の執筆中。

【司会】トマ・ガルサン(日仏会館・フランス国立日本研究所)、アントナン・ベシュレール (日仏会館・フランス国立日本研究所)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。