境界は何の役に立つか?
[ 一般公開講演会 ]
使用言語:
フランス語 (同時通訳付き)
日時: |
2010年03月23日(火) 18:00 - 19:30 |
場所: |
1階ホール |
講演者: |
レジス・ドゥブレ (哲学者・知識人) |
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- 講師プロフィール:
高等師範学校卒業、1965年に哲学の高等教育教授資格(アグレガシオン)取得。共産主義学生同盟に加わったのち、キューバでチェ・ゲバラと出会いボリヴィアで行動を共にする。1967年に出版した Révolution dans la révolution が大きな反響を得る。逮捕され、4年間の投獄を経てチリに向かい、サルバドール・アジェンデおよびパブロ・ネルーダと出会い、アジェンデとのインタビューを出版した後1973年にフランスに帰国。
1981年から1985年にかけて当時のフランソワ・ミッテラン大統領の下で国際関係を担当。1984年から1985年には西太平洋評議会の会長に任命され、次いで国務院調査官に就任し、1992年に同職を辞任。1993年に「イメージの生と死:西洋における視線の歴史」と題する博士論文をパリ第1大学に提出する。メディア分析を専門とし、1996年に「カイエ・ド・メディオロジー」を創刊。1998年には国際哲学コレージュにおいて「技術と哲学」をテーマにしたプログラムとセミナーを共同主宰し、1998年から2002年にかけて国立高等情報科学図書館学校(ENSSIB)の学術評議委員会委員長を務めた。2002年には宗教学ヨーロッパ研究所創設を主導し、2004年まで同研究所の所長を務め、2005年以降は名誉院長に就任。2005年に Médium — transmettre pour innover(革新のための伝播)誌を創刊する。
著作は50あまりにのぼり、最近ではガリマール社から Dégagements (2010), Le moment fraternité (2009), Un candide en Terre Sainte (2008), フランス国立科学研究センター (CNRS) から Un mythe contemporain — le dialogue des civilisations (2007) が出版されている。
- 講演要旨:
神聖化されたものには本質的に囲いがあり、閉ざされた場所(「聖域、天国の門」)には本質的に超感覚的な指向対象があることは、語源学・考古学・人文地理学も証明するところであるが、そこから、境界とは集団が生き延びるための戦略であるという仮説を導くことができる。それはまた、生物の器官的な制約(皮膚、膜、外皮)を集団の組織化に反映させたものと言えるだろう。この構成的な内部/外部の関係には当然ながら多様なかたちがあり、今日認められる曖昧なものの隆盛(滑らかなものと液体、脱領土化されたもの、ノマド、海賊)と“壁”の蔓延との関係性や、ユビキタスな社会をめぐる言説と“場”の猛烈な巻き返しとの関係性を検討することを可能にする。境界線画定の拒否と境界の否定は、生と思考の空間を前例のないまでに閉塞させるのが常である。そのことはユートピアの逆転の歴史が証明している。最後に行き着くのは以下のよう問いであろう:境界についてのいかなる倫理学が必要なのか、あるいは、治癒できない傷をいかに治療するべきか?
- 協力:在日フランス大使館,東京日仏学院
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