- 講師プロフィール:
1957年、イタリアのヴェッレトリ生まれ。ローマ・ラ・サピエンツァ大学(ローマ第1大学)を1983年に卒業し、1984年から88年までイタリア政府給費奨学生。1993年にパリ第4大学にてダニエル・ポワリオンおよびミシェル・ザンクの指導のもとで文学博士号を取得。1994年から99年までオート・アルザス大学の准教授を務めた後、1999年から2000年までフランス国立科学研究センター(CNRS)に出向、2001年にポワチエ大学教授(中世フランス語・フランス文学)に就任した。同大学の中世文明高等研究所(CESCM-UMR6223)所長。
中世叙情詩 (Charles d’Orléans, L’Écolier de mélancolie, édition en français moderne, introduction et notes, Le Livre de Poche, 1995, Le Lexique de Charles d'Orléans dans les Rondeaux, Droz, 1993, Charles d'Orléans : « Plus dire que penser », Adriatica Editrice, 1994, « En regardant vers le païs de France ». Charles d’Orléans : une poésie des présents, Orléans, Paradigme, “Medievalia”, 2006, 220 p.)、ジャンルの詩学 (Fonctions de l’incongru dans la littérature française médiévale, Paradigme, 2000)、語りのモチーフ (Diegesis. Études sur la poétique des motifs narratifs au Moyen Âge, Turnhout, Brepols, 2005, 230 p.) に関する著作の他、単著が7冊、翻訳が3冊、10冊あまりのシンポジウム紀要、10冊の共著、60本にのぼる論文を発表している。1994年からMEMINI社より出版されている Bibliographie des Écrivains Français(すでに32巻が刊行され、20巻ほどが続刊の予定)および Translatio 叢書の創設者にして監修者であり、2008年からは Classiques Garnier 社より刊行されている Recherches de Littérature médiévale 叢書および les jaunes 叢書を監修している。2006年にはフランス国立研究機構(ANR)の国際プログラム TRANSLATIONS MEDIEVALES Cinq siècles de traductions en français (XIe-XVe siècles) Étude et Répertoire を始動させた。このプロジェクトの目的は、中世におけるフランス語への翻訳の網羅的な目録の作成および中世の翻訳に関する研究書の刊行である。ガルデリジ氏は国際学術誌 Le Moyen Français の共同編集長でもある。
また、2008年からフランス国立科学研究センター(CNRS)の人文・社会科学部門国際交流局の学術担当副局長を務めている。2009年5月にはフランス外務省 − CNRS 国立在外共同研究所(UMIFRE)に関する部局の責任者に任命され、フランス国立科学研究センター内で日仏会館研究センターを含むフランス外務省 − CNRS 国立在外共同研究所(UMIFRE)を監督する立場にある。
現在、シャルル・ドルレアン全集を準備するとともに、l’Apollonius de Tyr のロンドン草稿の刊行をウラジミール・アグリゴロエとともに計画している。
- 講演要旨:
ギリシャ・ラテンの古典のほぼ半数は中世にフランス語に翻訳されたが、原典がいかに伝播・普及し、フランス語および文化にどのような影響を与えたのかは不明である。中世フランス語に対する土着言語の影響、オック語とオイル語の混交についてはさらにはっきりとしない。TRANSLATIONS MEDIEVALES Cinq siècles de traductions en français (XIe-XVe siècles) Étude et Répertoire (TRANSMEDIE)プロジェクトは網羅的な目録の作成と文献解釈学的研究を通して、フランス語への翻訳の実践と理論の歴史を提示する。これにより、中世文明とフランス語の誕生に関する研究が活性化し、ヨーロッパ中世に関する様々な研究分野、そして異なったヨーロッパ中世の言語の専門家のあいだの交流が促進されるであろう。その結果、フランス文化およびフランス語の形成において、中世的な意味での四科(quadrivium クワードリウィウム)と三学(trivium トリウィウム)に関する学術・芸術書の“翻訳”(translatio)が果たした役割の新たな側面が明らかになるだろう。
TRANSMEDIE プロジェクトの書誌目録とテーマ毎に章立てされた分析的歴史が完成すれば、古典古代およびヨーロッパやその他のロマンス語・文化とのあいだの断絶と継続性に関する研究は、共時的かつ通時的な“翻訳”(translatio)の批判的な全体像に依拠することが可能になる。その結果として翻訳を、諸言語と諸文明および調子と文体の邂逅として、また、過去と現在そして異なる期待の地平のあいだのコミュニケーションとして、さらには、西欧中世における歴史的、文化的、政治的、人類学的かつ科学的諸問題をはらんだ過去と現在の2つの世界に開けたものとして、諸国から成るヨーロッパの源流と中世研究の諸分野の合流地点と見なすことが可能になるのである。
- 参加申込締切:2月3日(メールで contact[後に @mfj.gr.jp を付けて下さい]まで)
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* 日仏会館フランス事務所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページのイベントカレンダーからの申込みが必須となります。警備強化のため、当日の受付に際しては身分証明書の提示をお願いしております。