3月
09
2009
  • 共催:日仏美術学会
  • 講師プロフィール:

    バーテレミー・ジョベール:高等師範学校卒業、歴史高等教育教授資格(アグレガシオン)取得。2003年よりパリ第4大学(ソルボンヌ)の近現代美術史(文化遺産)教授。フランス国立図書館の版画・写真部門の研究員を務めたほか、ハーバード大学およびグルノーブル第2大学でも教鞭をとった。19世紀フランス美術、特にロマン主義とドラクロワの専門家で、関連する展覧会の監修をはじめ著作も多く、1997年にはドラクロワに関する研究書を出版している。イギリス美術とフランスにおけるその受容、またイギリスおよびフランスの版画についても詳しい。現在、ガリマール社から出版予定の19世紀絵画史に関する著作を準備しているほか、パリ第4大学(ソルボンヌ)とルーヴル美術館および国立ウージェヌ・ドラクロワ美術館との共同プロジェクトの一環としてドラクロワの書簡の電子化を進めている。島根県立美術館と横浜美術館で2009年3月から8月にかけて開催される「フランス絵画の19世紀」展(三浦篤東京大学教授監修)の企画とカタログ編集にも参加している。

  • 講演要旨:

    ドラクロワ:古典主義とロマン主義のあいだで

    ドラクロワは同時代においてフランス・ロマン主義の指導者と見なされていたが、彼自身は何よりもまず“古典主義”の画家であろうとした。時を経てその作品を俯瞰することが可能になった現在、どのように判断することができるだろうか。まず画家としての修業時代に着目すると、そこには非常に伝統的な面(アカデミー的教育、古代からルネッサンスにかけての有名な古典的作品に対する憧憬、古代ギリシア・ローマから近代の偉大な作家に対する賞賛の念)と革新的な面(ローマ賞を頂点とする芸術家コースからの乖離、イタリア旅行をしなかったこと)を見ることができる。この二面性はモロッコ旅行によって総合され、以後、サロンの出品作品、そしてブルボン宮やサン=シュルピス聖堂などの壁画作品に代表される画家の最も創造的な時代が幕を開ける。それでは、「ダンテの小舟」から「民衆を率いる自由の女神」に至るこの“ロマン主義の時代”をどのように理解すればよいのか。そのためには、ロマン主義の他の画家たち、そしてさらには他の表現形式、特に彫刻との比較が不可欠である。講演の最後には、“ロマン主義的”であると同時に“古典主義的”であり、ほぼ同時代に制作されてフランスを表象することとなる二つの作品「民衆を率いる自由の女神」とフランソワ・リュードの「マルセイエーズ(1792年義勇軍の出発)」を比較する。

  • 講演テクスト:

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。