アメリカの葬儀と墓地 — 「アメリカ的な死の在り方」を考える
[ 一般公開講演会 ]
使用言語:
日本語 (通訳なし)
日時: |
2010年09月22日(水) 18:00 |
場所: |
601会議室 |
講演者: |
黒沢眞里子 (専修大学文学部準教授) |
- 共催:CNRS Regional Office - North East Asia
- 講師プロフィール:
専修大学文学部準教授。学術博士。専門はアメリカ研究、とくにアメリカ人の死生観と墓地景観について研究を行っている。19世紀アメリカで起こった墓地の大改革を、景観を切り口として研究した著書『アメリカ田園墓地の研究 — 生と死の景観論』は、2000年度アメリカ学会清水博賞受賞。その他共著としては『21世紀アメリカ社会を知るための67章』、『アメリカ1920年代 — ローリング・トウェンティーズの光と影』、『都市空間の再構成』がある。アメリカ墓石研究学会 (Association for Gravestone Studies)の会員で、アメリカの墓地を数多く訪れている。
- 講演要旨:
本発表ではアメリカの葬儀と墓地について取り上げる。アメリカの葬儀の特徴の一つは死体に防腐処理を施すエンバーミングであるが、これは62万人というアメリカ史上最大の戦死者をだした南北戦争をきっかとして普及し、当時誕生しつつあった葬儀産業の基盤となり発展した。また、墓地は1830年代に大改革が行われ、庭園と墓が結びついた庭園墓地が新た墓地のモデルとなった。この庭園墓地がアメリカ西部へと普及する中で明るい芝生空間が特徴の公園型墓地へと変化し、現在広く見られるメモリアル・パーク型の墓地景観へと至った。エンバーミングもメモリアル・パークもアメリカの歴史的・文化的状況から生まれたものであるが、葬儀のプロフェッショナル化やパーク化する住環境など日本社会の変化に通じる側面ももちあわせている。本発表の目的は、アメリカの葬儀と墓の過去と現在を概観し、「アメリカ的な死の在り方」の理解を深めることである。最後にそのような「アメリカ的な死の在り方」が日本にどのような影響を与えているか可能な限り考察を加えるつもりである。
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