環境変化を知らせる動物たち―人類学的な試み
[講演会] フレデリック・ケック (フランス国立 科学研究センター)
18:30 - 20:30 601号室 フランス語
【講師プロフィール】
フランス国立科学研究センター(CNRS)研究員、フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)内の社会人類学研究室所属。パリ高等師範学校(ENS)で哲学を、バークレー大学で人類学を学び、人類学史と現代における生政治の問題に関する研究を行う。主著にClaude Lévi-Strauss, une introduction (Pocket-La découverte, 2005)、 Lucien Lévy-Bruhl, entre philosophie et anthropologie (CNRS Editions, 2008) 、Un monde grippé (Flammarion, 2010) 、 Des hommes malades des animaux ( N. Vialles との共編、L’Herne, 2012)がある。
【要旨】
温暖化や新たな感染症、放射能、内分泌攪乱物質などが環境問題に警鐘を鳴らすなか、環境保護に取り組む人々は指標を用いてこれらの脅威を可視化している。危険を知らせる「歩哨」とも呼ばれるこの指標とは、氷原から消えゆくホッキョクグマや鳥インフルエンザに罹った鳥、チェルノブイリで繁殖する虫、ホルモンに変調をきたしたヒョウなどである。本講演では、レヴィ=ストロースおよびフーコーの業績を参照しつつ、自然の政治学における動物の登場によって人間と動物との関係がいかに変化するのかを検討する。また、環境危機の信憑性を検証しつつ、動物を襲う脅威と人間に迫る危険とのあいだの溝をいかに埋めることができるかについても考える。
【主催】日仏会館フランス事務所