共和国主義者は真摯に平等を目指したのか? 1870年から1914年にかけてのフランスにおける地域的収斂
[講演会] ジャン=パスカル・バシノ (モンペリエ第3大学)
18:00 - 19:30 601会議室 フランス語
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講演要旨:
「共和国主義者は真摯に平等を目指したのか?
1870年から1914年にかけてのフランスにおける地域的収斂」
[ジャン=ピエール・ドルモワ(ストラスブール大学、フランス大学学院)との共同研究]
レオン・ガンベッタは1869年の有名なベルヴィル綱領において、普仏戦争での第二帝政の敗北の後に成立することとなる共和国政府の方針を予告していた。それによれば、共和国政府の目標は法律上のみならず生活条件の点からも社会的経済を実現することであった。本講演では、1870年から1914年にかけてのフランスにおける地域格差の推移を検討し、厚生に関する収斂プロセスを分析する。その際に準拠するのは県庁所在地における平均実質賃金、徴兵適格者の平均身長と平均的な教育水準、人口に対する保健衛生関係の従事者数など県レベルでの複数年におよぶ指数である。
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講師プロフィール:
日本(日仏会館研究員、一橋大学経済研究所招聘研究員)およびオーストラリア(キャンベラのオーストラリア国立大学)を経て、現在はモンペリエ第3大学で経済学を講じる。研究課題は長期的な生活水準の推移とアジアとヨーロッパにおけるその国際比較および日仏両国における地域格差の推移(19〜20世紀)。研究に際して依拠しているのは、実質賃金あるいは購買力平価から見た住民1人当たりの収入、成人と青少年の体格、健康水準や教育水準など、厚生に関する様々な指数である。また、グリーン社会会計(Green National Accounting、厚生に対するエコシステムの貢献と自然資本の破壊)および日本企業の国際戦略におけるカントリーリスクの考慮に関する研究も行う。日仏英の学術誌に多くの論文を発表しているほか、編著作者として複数の英語の共著がある。