12月
15
2014

【主旨】
 19世紀末から現在にいたる近現代日本の歴史記述を検証してみると、他の国々のナショナル・ヒストリーと比較して、相違点と同じだけ共通点が目立つ。その理由のひとつは、国民国家の歴史が、多くの場合「近代性」を共通の枠として備えているからである。国ごとの経験は異なっていても、そこには少なくとも共通の問題が存在している。さらに、近現代史家であればどこの国の歴史家でも、同じ方法論の井戸から水を汲んでいるため、どの国に焦点をあてた歴史記述であれ、ワールドワイドで共通の概念を見出すことができる。
 本講演では、こうした時間と場所を超えた共通性を浮彫りにする8つのメタヒストリー的カテゴリーを提示し、日本における歴史記述を国際比較の視点から検討する。そのうえで、結論として、きわめて創造的な歴史が書けるような新しい機運が1990年代にはじまっていることを主張する。すべての歴史的な転換点と同じように、この転換点もまた過ぎ去って行く。この転換点を活かすのは、まさに今ではないだろうか。

【プロフィール】
1941 年生れ、コロンビア大学教授。米国における日本近現代史、思想史研究の第一人者、著書に『歴史で考える』(岩波書店、2007 年)など。

【司会】 アルノ・ナンタ(フランス国立研究センター、日仏会館) 

【主催】 (公財)日仏会館、日仏会館フランス事務所、中央大学文学部

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。