Maison Franco-japonaise: 日仏会館 日仏会館・フランス国立日本研究所(Umifre 19 フランス外務省・国立科学研究センター)

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2025年3月20日(木)のイベント

オウム真理教の内外に蔓延した「マインド・コントロール幻想」


使用言語:日本語 (仏語通訳)
日時: 2025年03月20日(木) 18:00〜20:00
場所: 601室&オンライン
講演者: 大田俊寛(埼玉大学)

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1995年3月20日、地下鉄サリン事件という大規模テロを起こしたオウム真理教。その暴走を後押ししたのは、一体何だったのか。従来の日本社会では、「マインド・コントロール(あるいは洗脳)」の理論によってオウムを説明しようとする試みが盛んに行われてきた。すなわち、オウムの信者は教団によって完全にマインド・コントロールされており、自由意志を失っていた、というのである。

とはいえ、マインド・コントロールという概念は、決して科学的・学問的に確立されているわけではない。むしろ「疑似科学」と見なされることが多いほどである。果たして本当に、オウムの内部ではマインド・コントロールが実現していたのだろうか。

本講演では、マインド・コントロールという理論を、科学ではなく「幻想」と捉え、そうした幻想がオウムの内外にどのような仕方で存在してきたのか、ということを考察する。その際に一つの発端となったと思われるのは、1950~60年代にアメリカのCIAで行われたマインド・コントロール実験、「MKウルトラ計画」である。同計画は失敗に終わったものの、以降の新宗教運動・オカルティズム・陰謀論に大きな影響を与え、オウムでもまた、それをモデルとした人体実験が行われていた。さらには「反カルト」の側でも、新宗教運動に参加している人々はマインド・コントロールを受けていると見なされ、そこから離脱させるために「ディプログラミング」が必要である、と主張されたのである。

こうした観点から再考すると、実にオウム事件は、マインド・コントロール幻想に取り憑かれた二つの集団の衝突であった、とさえ映るようになる。そして日本社会は、マインド・コントロール理論を適切に批判しなかったために、オウム事件の本質を誤解したばかりか、宗教問題に冷静に対処する方法を見失ったように思われるのである。

大田俊寛2.jpg

大田俊寛は1974年生まれ。専門は宗教学・思想史。古代キリスト教の異端である「グノーシス主義」の研究により、東京大学で博士号を取得し、2009年に『グノーシス主義の思想――"父"というフィクション』を公刊。その後はオウム真理教の研究を手掛け、『オウム真理教の精神史――ロマン主義・全体主義・原理主義』(2011年)と『現代オカルトの根源――霊性進化論の光と闇』(2013年)を公刊。現在は埼玉大学においてリベラル・アーツ教育を担当しており、2023年に西洋宗教思想史の講義録『一神教全史』を公刊した。

【司会】アントナン・ベシュレール(日仏会館・フランス国立日本研究所)
【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所

* イベントは、特に記載のない限り、すべて無料となっております。参加をご希望の方はお申し込みをお願いいたします。

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