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都市の開発と建築物や景観の保護の調和は、日本を含む現代の都市政策の主要な課題の一つである。現在、東京では神宮外苑地区を対象とした都市開発プロジェクトが国内外で大きな反響を呼んでおり、市民の行動やICOMOSによる2023年9月の「alerte patrimoine」などが行われている。明治神宮外苑は、20世紀初頭に創設されたおおよそ30ヘクタールの都市公園であり、有名なイチョウ並木が植えられ、スポーツ施設(国立競技場、野球場、テニスコートなど)や文化施設(聖徳記念会館など)が整備されている。多くの人にとって重要な東京の文化的・景観的遺産と見なされている神宮外苑だが、現在、新しいスポーツ施設や高層ビルの建設によって脅かされている。このラウンドテーブルでは、三人の日本の専門家 ー 石川幹子、三宅理一、大方潤一郎 ー を迎え、この時事問題の複雑さに触れながら、日本における都市開発に対する文化遺産の保存の重要性を広く考察する。
石川幹子 中央大学研究開発機構・機構教授、東京大学名誉教授。農学博士、技術士(都市及び地方計画)。元日本学術会議会員。宮城県岩沼市生まれ、東京大学農学部卒業、ハーバード大学デザイン大学院修士課程修了、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程修了(農学博士)慶應義塾大学環境情報学部教授、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授、中央大学理工学部人間総合理工学科教授・学科長をへて、現職。 受賞:日本都市計画学会論文賞、土木学会デザイン最優秀賞、みどりの学術賞など 主な著書:『都市と緑地』(2001年岩波書店)、『流域圏プランニングの時代』(2005年共著、技報堂出版)、 『グリーンインフラ』(2020年中央大学出版部)(日本造園学会著作賞受賞、2022年) 社会的活動 1.四川汶川大地震復興(2008~現在): 四川汶川大地震(2008年5月)の復興 支援。2020年1月、都江堰市より文化功労名誉賞、2022年12月成都市パークシティ栄誉賞。 2.東日本大震災復興(2011年~現在):復興まちづくり、海岸林の再生。 3.気候変動に直面するヒマラヤ山脈ブータン王国における「気候変動適応型首都計画」の支援(2015年~2019年)、ロイヤルパークの整備 4. 神宮外苑再開発に伴う文化的資産の破壊に対する保存活動(2022年1月~現在)
三宅理一 1948 年東京生まれ。東京大学工学部建築学科ならびにパリ・エコール・デ・ボザール卒業。工学博士。芝浦工業大学、慶應義塾大学、パリ国立工芸院にて教鞭をとり、藤女子大学副学長を経て、現在、東京理科大学客員教授。建築史、遺産学、地域計画を専攻。日本国内に加えて、中国、フランス、ルーマニア、ロシア、エチオピアなどで歴史的建造物の保存計画をてがける。また、ポンピドーセンター、ヴィトラ・デザイン・ミュージアムなどで多くの国際展の企画を行い、現在はイランから中国を経て日本を巡回する「間」展シルクロードを推進する。瀋陽市ユネスコ世界遺産登録の業績に対して瀋陽市栄誉市民、日仏学術交流の業績に対してフランス政府より学術教育功労勲章(オフィシエ等級)を授かる。近著として「モルドヴァの世界遺産とその修復」(監著、西村書店、2009)、「パリのグランド・デザイン」(中央公論新社、2010)、「秋葉原は今」(芸術新聞社、2010)、「境界線(ボーダー)から考える都市と建築」(監著、鹿島出版会、2017)、「Fin-de-siècle Architecture」(Taschen、2017)など。
大方潤一郎 1954年生まれ。東京大学都市工学科の学部・大学院(博士課程)を卒業後、同助手、横浜国大助手・講師・助教授(工学部建築学科)を経て1996年・東京大学都市工学科助教授、99年から同教授。専門は都市計画、土地利用計画。専門領域は、都市・地域空間における土地利用規制・誘導手法と土地利用・生活環境の実態との関係性の解明、アーバン・モルフォロジー、都市基本計画の 策定手法、「まちづくり条例」の策定・運用を通じた都市成長管理・既成市街地更新管理、IT技術を活用した参加型計画策定手法。2003年度から21世紀COE「都市空間の持続再生学の創出」のサブリーダーとして持続可能な都市地域空間の形成手法を探求。2011年3.11以降は、岩手県大槌町等での仮設まちづくりと復興支援に奮闘。2013年から高齢社会総合研究機構・機構長およびリーディング大学院「活力ある超高齢社会を共創するグローバルリーダー養成プログラム」プログラム・コーディネータを兼務。2019年から明治大学経営学部特任教授・東京大学名誉教授。現在に至る。
【司会】デルフィーヌ・ヴォムシャイド(日仏会館・フランス国立日本研究所) 【主催】日仏会館・フランス国立日本研究所
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