※定員に達したため、お申し込みを締め切らせていただきました。
本討論会では、日本とフランスにおける表現の自由の概念の変遷について、両国の歴史と法律を通して考えたいと思います。登壇者は主に次の点について議論します。「表現の自由は基本的人権ですが、絶対的な権利なのでしょうか?」、「表現の自由に制限はあるのでしょうか?制限を受けるとすれば、それはどのような情況においてでしょうか?」、「表現の自由と個人や国家の保護との間の公正な均衡をどう見極めればよいのでしょうか?」。
日本については、特定の個性をもった人々(外国人や性的マイノリティー)に向けられているヘイトスピーチを取り上げます。一方フランスに関しては、否定主義に対する法律や対テロ法が生む新たな課題について考えます。この討論会は、民主主義と人権を尊重する日仏両国における、表現の自由の変遷とその軌跡を比較する機会となるでしょう。
パネリスト:
アンリ・ルッソ フランス国立社会研究所歴史学者、1994年から2005年まで現代史研究所長を務める。集合的記憶の研究の先駆者の一人で、ヴィシー政権についての研究の第一人者でもある。集合的記憶を元に歴史と正義との因果関係を研究している。1987年、ナチスドイツによるユダヤ人虐殺の現実を否定する行為を名指すために「否定主義」を導入した。フランスの教育機関〔ナンテール大学、パリ政治学院、パンテオン・ソルボンヌ大学〕や海外の大学〔ハーバード大学、イェール大学、コロンビア大学、イェーナ大学、ラプラタ大学〕で教鞭を取る。また、フランスやヨーロッパで多くの美術館に協力をした。次のような代表作を含めフランス語で出版された著書・共著は約30冊に及ぶ:「ヴィシー症候群」 (Le Seuil, 1987)、「最後の大災難、歴史、現在、同時代」(Gallimard, 2012) 、「過去に対峙する・同時代の記憶に関するエッセー」(Belin, 2016)
イザベル・ロリブ ブリュッセル自由大学で法哲学議会センター長兼学長付顧問。主な研究テーマは平等と対差別の法的概念の適用の展開、人権と基本的自由権の視点から見た文化の多用主義がもたらす課題である。European Equality Law Networkのメンバーであり、 Equality Law Clinicの創始者の一人でもある。2008年には著書を二作共同出版している:Governing Diversity. Migrant Integration and Multiculturalisme in North America and Europe (ed. Université de Bruxelles), Human Rights Tectonics. Global Perspectives on Integration and Fragmentation (Intersentia, Cambridge).
香山リカ 東京医科大学卒業、臨床や教育職に携わる精神科医。現職は立教大学現代心理学部映像身体学科教授。現代人の心の病をテーマに様々な著書を出版。
山元一 早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学法科大学院教授、憲法のスペシャリストである。2012〜2013年、2015年シアンスポ・パリ法科大学院招聘教授。2016年パリ第2大学招聘教授。
【司会】イザベル・ジロドウ(東京大学)
【主催】在日フランス大使館/アンスティテュ・フランセ日本、日仏会館・フランス国立日本研究所
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