Maison Franco-japonaise: 日仏会館 日仏会館・フランス国立日本研究所(Umifre 19 フランス外務省・国立科学研究センター)

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連続講演会《個から普遍へ:文化人類学の射程》

身体の人類学:現代フランスと日本における身体へのかかわりの変容と自己消失への誘惑

[ 講演会 ]

(同時通訳付き)
日時: 2015年12月07日(月) 18:30〜20:30
場所: 1階ホール
講演者: ダヴィッド・ル・ブルトン(ストラスブール大学)


※著作権により通訳音声の配信はできませんのでご了承ください。

身体は、社会・文化人類学で長い間取り上げられてこなかったが、生物学や医学をはじめ、社会学、歴史、哲学、心理学、民族学といった様々な分野の学問を介して90年代から飛躍的に主要な研究テーマとなる。様々な身体の変容(望んだものであろうが、そうでなかろうが)や、個人性の表現や否定といった身体における多少危険な作用が注目されている。それゆえ身体は現代社会の緊張のしるしと考えられる。同時に、われわれは現代社会における自己や物質性の消失への欲望の高まりを明らかにすることができた。
われわれの存在は、たしかにときに重くのしかかる。ある一時期でも、われわれは存在につながる生理的欲求から距離を置きたいとさえ思う。息を吹き返すために、自分でいることを休むのである。社会的なつながりの細分化は各個人を切り離し、自分自身や自由、自主性の喜び、もしくは反対に自分への不満や個人的な失敗に立ち返らせる。意味や価値のある出来事に適合し身を投じるための強い内的能力をもたない人や自信のない人は、自分自身を脆弱に感じるので、彼が属する共同体の代わりに自分自身を支えなければならないのである。そういった人はしばしば緊張や心配、疑いといった、人生を困難にしてしまう雰囲気のなかに浸っている。生活意欲はいつも予期したときに起こるものではない。多くの現代人は、ときに肩の荷をおろして圧力から解放されたいと思い、時間や状況の流れに沿って自分自身であり続けることへの絶え間ない努力や、常に自分自身や他者に対する期待を満たす存在であり続けることへの努力の中断を強く望んでいるのである。


【プロフィール】
ダヴィッド・ル・ブルトン
1953年生まれ。人類学者、ストラスブール大学教授(社会学)。フランス高等教育研究所および、ストラスブール大学先端研究所(USIAS)のメンバーである。身体やその変容、感覚などについての考察から青年期や若者、危険行動などについてまで30冊を超える著書がある。 彼の著書は多数の言語(英語、スペイン語、イタリア語、アラブ語、ドイツ語、中国語、韓国語)に翻訳されているが、まだ日本語には翻訳されていない。 主な書著:『Anthropologie du corps et modernité』1990年、『L’Adieu au corps』1999年、『Anthropologie de la douleur』2006年、『Dictionnaire de l'adolescence et de la jeunesse』 2010年、『Marcher. Eloge des chemins et de la lenteur』2012年、『Disparaître de soi. Une tentation contemporaine』2015年

Le Breton David © Philippe Matsas.jpg


野村雅一
国立民族博物館名誉教授、京都大学文学修士、京都大学人文科学研究所助手、国立民族博物館教授、総合研究大学院大学理事、副学長などを歴任。南ヨーロッパを主なフィールドにして身振りやしぐさを含む人間のコミュニケーションを研究する。 『身体表現の民族学』、『身ぶりとしぐさの人類学』、『老いのデザイン』、『しぐさの世界ー身体表現の民族学』などの著書がある。

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【講師】ダヴィッド・ル・ブルトン(ストラスブール大学)
【ディスカッサント】野村雅一(国立民族学博物館)
【司会】ジャン=ミシェル・ビュテル(日仏会館・日本研究センター)
【主催】日仏会館フランス事務所
【助成】アンスティチュ・フランセ(パリ)、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本

* 日仏会館フランス事務所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページのイベントカレンダーからの申込みが必須となります。警備強化のため、当日の受付に際しては身分証明書の提示をお願いしております。

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