【プロフィール】 ガブリエル・ラディカは、アミアンにあるピカルディ・ジュール・ヴェルヌ大学で、准教授として哲学を講じている。2008年には、博士論文を土台とした『理性の歴史:ジャン=ジャック・ルソーにおける人類学、道徳、政治』をシャンピオン社から刊行。現在は、民法を中心とした法哲学、および家族という概念やそのことがもたらす公平性の問題などを主に研究している。
【趣旨】 近代西洋の偉大な思想家たち(ロック、モンテスキュー、ルソー、トクヴィル、デュルケーム、フロイト、ヌスバウム)は家族についても考えてきたが、同時にこの家族という制度はつねに揺れ動いてきた。彼らは、あるときは、家族における歴史的な転換(例えば、結婚の契約化)を再定義し新たに取り込み、またあるときは、核家族化していくような展開を批判した。つまり、こうした「家族の哲学」に関する認識は、家族の歴史そのものと歩調を併せて進んできたのだ。 本講演会では、「家族の哲学」を3つの方向から検討する。第一に、家族における権利と権力を問う法律。第二に、感情の役割を強調する心理学、教育学、道徳。そして最後に、集団におけるノスタルジーと個人の擁護をつなぎ合わせる社会学的・政治的なアプローチである。家族について考えるということは、つまり、政治哲学と法哲学と主体性の哲学が重なり合う領域なのである。
【司会】 ジャン=ミシェル・ビュテル(日仏会館・日本研究センター)
【主催】 日仏会館フランス事務所、中央大学
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