19〜20世紀フランスにおける言語、学校、国民
[ 一般公開講演会 ]
使用言語:
フランス語 (通訳付き)
日時: |
2012年02月07日(火) 18:00 |
場所: |
601会議室 |
講演者: |
ジャン=フランソワ・シャネ (パリ政治学院) |
- 共催:青山学院大学、科研基盤研究(B)「帝国・国民国家の辺境と言語」(代表:平田雅博・青山学院大学教授)
- プロフィール:
高等師範学校(ユルム校)卒業、歴史高等教育教授資格(アグレガシオン)取得、大学教授。現在、パリ政治学院で教鞭を執り、世界の19世紀史を講じる。19世紀フランスおよび第三共和制における「国民形成 nation building」の過程と、そこで学校と軍隊が果たした役割に関する研究を中心に、より最近では、普仏戦争と第一次世界大戦間の社会における軍隊の位置にも関心を持っている。主著に L’École républicaine et les petites patries (Paris, Aubier, 1996), Vers l’armée nouvelle. République conservatrice et réforme militaire (Rennes, PUR, 2006) がある。
- 講演要旨:
本講演は3つの客観的事実を元にしている。第一に、19世紀フランスの言語制度は複数性によって特徴付けられる。ある師範学校の校長が1880年代初めに書いていたように、フランス語は「農村部の生徒の大半にとって」母国語ではなかった。第二に、地方言語の衰退は20世紀に入って進展し、加速した。この変化はフランス国民の全体的な社会的、文化的変化との関連において考察することが適当である。最後に、20世紀後半には地方言語を承認し教育することに対する要求が高まった。これは大規模な社会的要求としては現れなかったが、政治家によって考慮された。その理由は、制度や国家の伝統的な属性を再考に付すだけではなく、言語的多様性を、必然的に複数性を内包するヨーロッパのアイデンティティ構築の支えとしたいという欲求があったからである。以上の3点から、フランス国民の生成を理解する上で重要な3つの問いが生じる。主流となる歴史記述の伝統が行った以上に、国民意識の進展と言語的統一を区別すべきではないのではないか。いかなる限りにおいて地方言語の衰退は国家の任意主義積極策の結果と考えられるのか。そして、現代における“国家遺産化された”地方言語の振興は、それを正当化する議論に従えば、どこまで近代化と民主化のひとつの形と考えることができるのだろうか。
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