7月
15
2015


ヒマワリ学生運動のときに多数描かれた段ボール紙のうちのひとつ。民衆の権力取得への意志を描き、ハッシュタグをつけて関連ソーシャルネットワークでの情報共有に使った。写真:ステファン・コルキュフ、2014年3月27日、台北

2014年3月から4月にかけて台湾で起こり、立法院占拠にまで至った「ヒマワリ学生運動」は対中接近政策における交渉条件に反発して起きたものだが、より深い原因は権力、特に現総統の馬英九に対する市民社会の反発に見出すべきであろう。政治的および地政学的な側面に加え、深刻なアイデンティティの問題が存在しているのだ。運動の参加者達は、馬総統が推し進める「古き」中華人民共和国への回帰が、台湾という島国化したひとつの共和国の現実とはまったく相容れないと感じているのである。ついに、世界の他の国々にならって、その国々の特性はあるにしろ、台湾人がソーシャルネットワークの活用を模倣し革新したのは注目すべきことである。さらに特筆すべきは、台湾の人々がついに世界の他の国々にならってソーシャルメディアを活用し、過去に例を見ないような市民運動を起こしたということである。支持が分裂したとはいえ、台湾の諸政党や体制に深く幻滅した社会は、重要な「エンパワメント」運動を生み出した、あるいは生み出そうとしたと言えるだろう。

【プロフィール】

ステファン・コルキュフ
リヨン大学(リヨン政治学院)准教授
フランス現代中国研究センターおよび東洋アジア学院研究員

【ディスカッサント】三澤真美恵 (日本大学)
【司会】アルノ・ナンタ(フランス国立科学研究センター、日仏会館・日本研究センター)
【主催】日仏会館フランス事務所
【協力】フランス国立現代中国研究センター台北支部

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。