2019年12月19日(木) |
「バンド・デシネをフランス語で読む」第6回レポート10月25日(金)15時からと18時半からの2回に分けて、日仏会館図書室読書会「バンド・デシネをフランス語で読む」第6回をを開催しました。使用したテキストは同じものです。 © Éditions DELCOURT 作者のギィ・ドゥリールの作品では『マンガ平壌』(檜垣嗣子訳、明石書店、2006年)が翻訳されています。今回、訳読の対象となったのは冒頭からP19まで。いつも通り、基本的には参加希望者に事前にテキストを渡し、予習してきてもらいました。当日その場で当てられた箇所をひとり1~数コマ単位で訳してもらい、必要に応じて文法事項や背景情報をみんなで補足し合いました。 今回の作品は決して文字数が多いわけではないのですが、実際には8ページ分しか進みませんでした。イスラエルをテーマにした作品を日本人がフランス語で読むこと、くだけた会話表現を正確に理解すること、この著者独特のユーモアを日本語に落とし込むことは、決して簡単なことではありません。冒頭数ページでキリル文字が登場したり、CH’TI(シュティ)というあまり見慣れない単語が登場したりと、多文化に開かれた作品でもあり、物語のトーンは軽く読みやすいのですが、確認事項が多く、翻訳するには難しい作品と言えるでしょう。 イスラエル・パレスチナ問題は、多くの日本人にとって、必ずしもなじみのある問題ではありませんが、2011年の本書のフランス語版発売時に比べると、この本で描かれていることは、日本人にとってもずっとアクチュアルに感じられるようになった印象があります。国際情勢が緊迫していることや東京オリンピックを控え、国際化の気運が高まっていることも背景にあるのかもしれません。いずれにせよ、日本のマンガではなかなか描かれないテーマを扱った作品であるだけに、ぜひ多くの日本人に読んでほしいと思います。 今後も引き続きさまざまなバンド・デシネを読んでいきたいと思います。 |
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