自然と文化の通態:和辻風土論と今西進化論を出発点に
使用言語:
フランス語
日時: |
2011年07月04日(月) 18:00 |
講演者: | オギュスタン・ベルク (フランス国立社会科学高等研究院) |
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- 講演要旨:
和辻哲郎の人間界についての説とヤーコプ・ヨハン・フォン・ユクスキュルの動物界についての説には驚くべき相似性がある。和辻が「風土」と「自然環境」を区別しなくてはならないことを示しているように、ユクスキュルは生物の一つの種にとって存在する周囲の世界である「環世界」(Umwelt)と、科学が把握するような環境的与件である「環境」(Umgebung)とを区別しなければならないとする。「風土」あるいは「環世界」は「環境」のように普遍的ではなく、一般的に生物であろうと、あるいは特に人間であろうと、一つの主体がいかに個別的に環境を解釈するかの結果である。この解釈は偶然的で、人類の諸文化の時間の広がり(いわゆる歴史)または生物の時間の広がり(進化)から見ても、その歴史は常に特異なものである。そこにおいては、主体(文化、生物の種)とそれを取り巻く周囲とが互いに作用し合う。すなわち特異なロジックの相互関係、「通態性」(trajectivité)が存在するのである。それは進化に関する諸理論において支配的な機械論的思考におけるように単なる因果関係に還元できるものではない。
- 講師プロフィール:
地理学者、東洋学者、フランス国立社会科学高等研究院教授。人間社会の自然に対する関係についての著作多数。中でも Être humains sur la Terre. Principes d’éthique de l’écoumène (Paris, Gallimard, 1996) があり、最新の著作には Histoire de l’habitat idéal. De l'Orient vers l'Occident (Paris, Le Félin, 2010) および Milieu et identité humaine. Notes pour un dépassement de la modernité (Paris, Donner lieu, 2010) がある。現在、共同研究プロジェクト « Histoire naturelle et histoire humaine »(自然の歴史と人類の歴史)が進行中である。
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