- 講演要旨:
フランス第五共和制憲法では第四共和制憲法と同じく、フランスが「非宗教的(…)共和国」であり、いかなる社会的圧力も、また国内のいかなる政党も「ライシテ(非宗教性)の原則」に疑問を呈することはできないと言明されている。しかし、このような明確なコンセンサスの陰には解釈の深刻な対立が隠れており、それは1959年から1984年にかけての時期と1989年以降では非常に異なったかたちで現れている。 前者の時期には、公立校と私立校をめぐる論争、ならびに社会慣行の非宗教化に関する法律にまつわる緊張により、フランス革命から20世紀初頭までの激しい《二つのフランスの対立》の名残が明らかになった。ここ20年あまり《ライシテの争い》は、フランスの植民地主義の歴史に根を下ろすとともに、フランス社会の民族・文化的“多様性”や国際情勢、近代性の新たな段階およびグローバル化の進行に結びついた新しい諸問題を前にして重要性を増している。
- 講師プロフィール:
フランス国立高等研究院(EPHE)の名誉院長であり、同研究院の「ライシテの歴史と社会学」講座の名誉教授。1995年に「社会、宗教、ライシテ」グループ(フランス国立科学研究センター、フランス国立高等研究院)を創設し、初代のディレクターを務めるとともに現在でもメンバーである。著作多数。中でも Vers un nouveau pacte laïque (1990), La morale laïque contre l’ordre moral (1997, 2e éd. 2009), Histoire de la laïcité en France (2000, 5e éd. 2010, 日本語訳 2009), Laïcité 1905-2005, entre passion et raison (2004) et Les Laïcités dans le monde (2007, 2e éd. 2009) などがある。
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