6月
14
2017

※著作権により通訳音声の配信はできません。申し訳ございませんがご了承ください。

本講演でははじめに、歴史が歴史学という一つの学問分野になったのは、民主主義社会の公共空間でたえず議論される記憶の問題と距離をとったからであることを確認する。記憶は過去の人間を価値判断するが、歴史学は過去の人間の行動を理解し説明することを任務とする。歴史学のこうした学問的姿勢はしばしば、「象牙の塔」に閉じこもり役にも立たない知識を生産するとして歴史家を非難する者たちから批判される。私はこうした批判の正しさは認めるが、歴史学は文化の世界の他のアクターたちとの連携を築くことで、歴史学の特徴である客観性の要請と歴史学の社会的機能とを和解させることが可能であることを示そうと思う。最後に、私自身が博物館や演劇や映画の世界と協働作業をした経験のいくつかを紹介して結びとする。

プロフィール

ジェラール・ノワリエル
1950年、ナンシーに生まれる。
歴史学アグレジェ、文学博士。
パリ高等師範学校教授(1986年〜1994年)
国立社会科学高等研究院研究ディレクター(1994年から)
プリンストン大学高等研究院会会員
学術誌 Genèses. Sciences sociales et Histoire 共同創立者・編集委員

【司会】大中一彌 (法政大学)
【主催】(公財)日仏会館、日仏会館フランス事務所

【関連イベントのお知らせ①】
セミナー「19-20世紀の歴史家たちのネーション観」

日時:2017年6月15日(木)18時〜20時

場所:日仏会館5階501号室
詳細はこちら:https://www.mfjtokyo.or.jp/events/course/20170615.html

【関連イベントのお知らせ②】
映画上映『ショコラ ~君がいて、僕がいる~』 + ジェラール・ノワリエルによる講演

映画『ショコラ ~君がいて、僕がいる~』(ロシュディ・ゼム監督/2016年/119分)の上映後、『ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯』の著者で歴史家のジェラール・ノワリエルによる講演会が行われます。

日時:2017年6月13日(金)18:00〜
場所:アンスティチュ・フランセ東京エスパス・イマージュ
参加費:一般1200円、学生800円、会員500円
http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/cinema1706131800/

* 日仏会館フランス国立日本研究所主催の催しは特に記載のない限り、一般公開・入場無料ですが、参加にはホームページからの申込みが必須となります。